このページでは、有機ELの製造プロセスについて、その詳細をご説明します。
一般的に有機材料には、その分子量によって低分子系と高分子系の2種類があります。ここでは、現在生産されている低分子での蒸着による製造プロセスについてご紹介します。
下記図は基本的な有機ELの製造プロセスをイメージしたものです。それでは、実際の製造プロセスをその役割ごとにご紹介します。

まず、ITO (酸化インジウムスズ:Indium Tin Oxide)陽極付きガラス基板をロボットが成膜クラスタに自動投入し、基板の洗浄等を行います。
その後、正孔注入層(HIL:Hole Injection Layer)、正孔輸送層(HTL:Hole Transport Layer)を蒸着した後、赤(R)、緑(G)、青(B)の各有機材料を蒸着します。その後は電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)、陰極(アルミニウム:Al)を蒸着させます。
蒸着の方法は、真空中で粉末の有機材料をヒーターで加熱・蒸発させ、基板の表面に付着させることで薄い膜を作ります。
蒸着する際には有機材料の蒸着で約400℃、金属電極材料の蒸着で約1,000℃程度の高温にする必要があるため、独自のセル型蒸発源を使用します。
有機ELは大気や水分に弱いため、これらに触れることなく成膜から封止までのプロセスを一貫処理する必要があります。
封止クラスタでは、露点管理で低湿度を保った窒素ガス雰囲気内で、乾燥剤や接着剤を塗布した封止ガラスを封止室にロボットで搬送し、成膜クラスタで有機材料が蒸着されたガラス基板に押し当て加圧し、UV照射で接着・封止します。
最後にロボットが完成した完成品を外部に自動排出します。キヤノントッキの有機ELディスプレイ量産製造装置ではガラス基板1枚あたり2~3分の短時間で生産でき、しかも1週間(144時間)の連続運転が可能です。
